Web3をリードするゲーム、東南アジアにおけるその意味とは

Image: YGG Web3 Games Summit 2023
ゲームは東南アジアにおいても単なる趣味ではなく、日常生活に欠かせないものとなっている。2023年、携帯でゲームをする「モバイルゲーマー」は1億1800万人を超え、この地域のデジタル空間における中心的な遊び場だ。
この成長の背景に、若者の人口、中間層の拡大、インターネットインフラの改善があることはいうまでもない。特に、6400万人のゲーマー(人口の約23%)を抱えるインドネシアと、3100万人(約27%)を抱えるフィリピンが、このデジタルシフトをリードしている。
身近なWeb3の紹介
Web3への関心は欧米市場ではデジタルアートやブランドとの関わりからが生まれることが多かったが、東南アジアではゲームがブロックチェーン技術を理解する入り口となっている。
「東南アジアのNFTアート市場はまだ始まったばかりです。NFTを試しているアーティストがいるかと問われたら、『もちろん』と答えるのですが、この未開拓の分野を成長させるのに必要な、充実したインフラやNFTアートというカルチャーを推し進めるような機関がまだ整備されていないことが課題です」とTropical Futures Instituteの共同設立者であるクリス・ファスナーは説明する。
モバイル・ゲームは人々に身近な存在でアクセスもしやすい。「特にコロナ禍では、通常の仕事の機会が失われるなか、人々は娯楽としてだけでなく、潜在的な収入源ともなるゲームに経済的に関心をもちました。多くの東南アジアの人々は、そんな経緯もあって、ゲームを通じてNFTや暗号通貨と初めて出会うこととなりました」
お金のためのゲーム、諸刃の剣
フィリピンのAxie Infinityのような「遊んで稼ぐ」ゲームの台頭は、ゲームを取り巻く状況の変化を象徴している。社会保障が限られ、非正規雇用によって生活している人々が多い国々では、これらのゲームは、希望であり、経済的により公平な未来がやってくることを感じさせた。
しかし、間もなく、簡単に稼げるという虚偽のうたい文句を喧伝するようなシステムに多くのプレイヤーが不満を感じ、参加者は減少し始めた。当初は日々の糧とも考えられていたこのゲームの経済モデルは、特に経済的に不安定な一部のプレイヤーにとっては大きなリスクとなり、損失をもたらした。
こうしたつまずきはあるものの、ブロックチェーンゲームの未来は全体としては楽観的にとらえられている。Yield Guild Games (YGG)のような組織は、このアクティビティの場を信頼できるものとして再構築するために立ち上がり、数十万人のゲーマーの側に寄り添う国際的なコミュニティの育成に励んでいる。
「YGGでは、よりオープンで協力的なゲーム・エコシステムを構築するために、Web3ゲーム、インフラ・クリエイター、同業組合のパートナーと直接関わっています。私たちのモデルは、同業組合メンバーがその貢献に対して報酬を得られると同時に、新しいスキルを身につけられるように考えられています」と、YGGの共同設立者であるギャビー・ディゾンは説明した。
「最終的な目標は、プレイヤーとゲームの間に真のつながりを築くことです」
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Image: YGG Pixels Community
エンターテインメントを超えたゲームの未来
ファスナーは、「東南アジアにおけるゲームは、楽しさと希望に満ちていて、人々の共感を呼んでいます」という。
「ゲームを通じて人生が変わるような金融テックツールに触れる機会を多くの人が得ています。今日のような不確実な世界において、地域経済の混乱から自分の財産を守ることができるような、ある種の代替え手段を持つことは、その人の人生をときに左右することになり得るのです」
ゲームシステムが完璧とは言い難い状況であることを認めつつも、YGGのような組織がすべての関係者のためにエコシステムを改善しようと努力していることをファスナーは指摘する。
ゲーム・プラットフォームがますますインクルーシブで公平な世界をつくるためのツールになると考える彼は、「ゲームは東南アジアで最もパワフルなデジタル空間のフロンティアだ。これまでになく変革的な時代が目前に迫っていることは間違いない」と力強く言った。